要点
- 刈り上げのたびに襟足の硬いブツブツが繰り返すなら、傷あとになる前の受診がおすすめです。
- 見分けるポイント:首の後ろと後頭部の生え際にでき、触ると硬く、自然には消えず、数と大きさが増えていきます。
- 項部ケロイド性ざ瘡は多くが14〜25歳で始まり、50歳を過ぎてから初めて出ることはまれです。
- レーザーを加えた比較:ブツブツだけの10人では、月1回・計8回のレーザーと塗り薬を併用した側のスコアが約59%、塗り薬だけの側は約30%下がりました。
短く刈り上げたあと、襟足の生え際に硬いブツブツが何か月も残る場合は、項部ケロイド性ざ瘡(AKN)を考えます。最初はカミソリ負けやニキビに似ていますが、治療せずにいると大きくなり、つながって盛り上がった傷あとになります。傷あとができる前に治療を始めると多くの人で経過が良く、傷あとができてからは治療が難しくなります。
カミソリ負けとの違い
カミソリ負けとの違い
違いは、できる場所と硬さ、そして消えずに残るかどうかです。項部ケロイド性ざ瘡は首の後ろと後頭部の生え際にでき、ドーム状に盛り上がって触ると硬いのが特徴です。かゆみが先に出ることも多く、短く刈り上げたあとやヘルメットをかぶったあと、数時間から数日のうちに始まります。
項部ケロイド性ざ瘡(AKN):首の後ろの毛穴の中で炎症が長く続き、硬いブツブツと傷あとが残る病気です。名前に「ざ瘡(ニキビ)」と入っていますが、ふつうのニキビとは別の病気です。
初めのうちはニキビやカミソリ負けと間違えやすいものです。ただ、治療しないと今あるブツブツが大きくなり、新しいものも次々に出てきます。経過はおおむね次のとおりです。
| 段階 | 襟足に見えるもの | この時期に記録したいこと |
|---|---|---|
| 初め | 散髪やヘルメットのあとのかゆみ | かゆみが出た日と散髪した日 |
| ブツブツ | ドーム状の硬い小さなブツブツ | かいた所に膿が出ていないか |
| 増える | 大きくなる・新しくできる、痛みや出血 | 数と大きさが増えていないか |
| 傷あと | つながって盛り上がった傷あと | その部分の髪が生えなくなっていないか |
傷あとになった部分からは、髪はもう生えてきません。傷あとのふちには、1つの毛穴から何本もの毛がまとまって生える「房状毛」が見られることもあります。
刈り上げやヘルメットで悪化する理由
刈り上げやヘルメットで悪化する理由
始まりは、毛穴の中の炎症が治まらずに続くことです。長引く炎症で毛穴が弱くなると、毛が毛穴の壁を突き破って周りの皮膚に入り込み、そこにブツブツができます。炎症がさらに続くと傷あとが毛穴をふさぎ、ふさがれた毛穴からは毛が生えなくなります。
刈り上げやヘルメットで悪化する理由
襟足を刺激するのは主にこすれです。頻繁な刈り上げ、帽子やヘルメット、作業用のヘルメット、ネックレス、襟付きのシャツが同じ場所を何度もこすります。首の後ろに皮膚のたるみがある体型では、皮膚どうしがこすれることも刺激になります。シクロスポリンや一部の抗てんかん薬(カルバマゼピン・フェニトイン)を飲んでいる場合や、近い血縁者に同じ病気の人がいる場合もリスクが高まります。
東アジアの人にはまれな病気ですが、起こらないわけではありません。ソウルの大学病院で17人のアジア人患者を調べた報告では、受診時の年齢は20〜69歳で、多くは2年以上続いていました。7人は複数の赤いブツブツ、10人は1つの大きなかたまりでした。見た目や組織の所見は典型的で、原因のはっきりしない襟足の傷あと状のブツブツでは、アジア人でもこの病気を考える必要があります。
ブツブツの段階とかたまりの段階で変わる治療
ブツブツの段階とかたまりの段階で変わる治療
ブツブツの段階では、刺激を取り除くことと塗り薬から始めるのが一般的です。最初に、何が襟足をこすったり剃ったりしているのかを探してやめることが大切です。あわせて、過酸化ベンゾイルの泡洗浄料のような抗菌の洗浄料で感染を防ぎます。ブツブツの数・大きさ・硬さを減らすためにステロイドの塗り薬が使われることが多く、レチノイドの塗り薬を組み合わせたり、ステロイド注射をしたりする場合もあります。感染があれば抗生物質を使い、それでも十分でなければレーザー治療やレーザー脱毛を加えることがあります。
ブツブツの段階とかたまりの段階で変わる治療
13人の後頭部を左右に分けた小さな試験では、両側にステロイドクリームを塗り、片側だけに1064nmのレーザーを月1回、計8回加えました。ブツブツだけの10人では、個人差はありますが、レーザー側は約59%、塗り薬だけの側は約30%スコアが下がり、統計的にも差がありました。13人全体では49%と33%で、統計的な差はありませんでした。大きなかたまりやしこりはレーザーでもあまり改善せず、人数が少なく途中でやめた人が多かったという限界もあります。
かたまりの段階では、小さくするのがより難しくなります。先ほどのソウルの報告では、かたまりのあった7人がステロイドのみ、またはステロイドと冷凍凝固療法を受け、そのうち3人でかたまりが小さくなりました。傷あとのかたまりが大きい場合は、手術で切り取り、ほかの部位の皮膚でおおう方法もあります。
自宅でできることと、すぐ受診したい症状
自宅でできることと、すぐ受診したい症状
かゆいときは、冷たい水でぬらして固くしぼった清潔なタオルを10分ほど当てましょう。処方された薬と一緒に使うと、かゆみを和らげるのに役立ちます。かいたりくしでこすったりすると感染して膿をもったブツブツになるため、かきむしるのはお控えください。
次のような症状があれば、次の散髪を待たずに早めに受診してください。
- ブツブツが大きくなる、または新しいものが増え続ける
- ブツブツが痛む、または出血する
- 皮膚の下が腫れて痛み、膿がたまったしこりがある
- 皮膚から嫌なにおいの液が出てくる
- 傷あとの部分で髪が生えなくなっている
膿のたまったしこりが続くと、皮膚の下でトンネル状につながることがあります。この場合は医師が膿を出し、感染の治療を行う必要があります。自分でつぶしたり針で破ったりするのはお控えください。
まとめ:受診前に準備したいこと
まとめ:受診前に準備したいこと
診察では首の後ろと後頭部を見たうえで、散髪の頻度や、ヘルメットや帽子をよくかぶるかどうかを聞かれます。そのため、散髪の間隔と、毎日襟足に触れる物のリストを持っていくと役立ちます。散髪した日と2週間後に同じ明るさで襟足の写真を撮っておくと、ブツブツが残っているのか広がっているのかを自分でも比べやすくなります。
ソウル滞在中に STON Clinic で相談する場合は、ブツブツが最初にできた時期、刈り上げの頻度、飲んでいる薬を添えてください。治療の内容と費用は、ブツブツの段階によって異なります。診察では「自分のブツブツは塗り薬で足りる段階か、かたまりを小さくする治療が必要な段階か」を最初に確認すると、次の進め方を決めやすくなります。
読んで気になることがあれば
相談を書く参考文献
- 襟足のブツブツが傷あとになるまでの経過 — 米国皮膚科学会(AAD) — American Academy of Dermatology
- 襟足を刺激する原因と始まりやすい年齢 — 米国皮膚科学会(AAD) — American Academy of Dermatology
- 診断と治療の進め方 — 米国皮膚科学会(AAD) — American Academy of Dermatology
- かゆみ・散髪・服装のセルフケア — 米国皮膚科学会(AAD) — American Academy of Dermatology
- ソウルの病院のアジア人患者17人の報告 — PLoS One、2017 — PubMed Central
- 1064nmレーザーとステロイドクリームの左右比較13人 — J Cutan Med Surg、2018 — PubMed Central
よくあるご質問
Q. 理髪店のバリカンが不潔でうつったのですか?
A. いいえ。項部ケロイド性ざ瘡はうつる病気ではなく、バリカンやはさみから感染することもありません。原因は毛穴の中で長く続く炎症で、バリカンは短く刈り込むことで襟足を刺激するという点で関わります。
Q. 髪を伸ばせば良くなりますか?
A. 役立つ可能性があります。できれば首の後ろと後頭部を剃らない髪型がおすすめで、これらの部位を剃ると悪化しやすいとされています。仕事などで短髪を続ける必要がある場合は、医療機関での治療を組み合わせて症状を抑えていきます。
Q. ワックスやポマードは使い続けても大丈夫ですか?
A. ブツブツがある間は使用をお控えください。ポマードやヘアオイルは皮膚を刺激し、悪化のきっかけになります。熱や汗も刺激になるため、運動のあとは襟足を涼しく乾いた状態に保ちましょう。
Q. シャツの襟やネックレスも影響しますか?
A. はい。襟足をこするものは、どれも悪化のきっかけになりえます。襟のないシャツや上着を選び、ネックレスやネックストラップのように首にかけるものを避け、帽子はブツブツのある位置より上で終わる形を選びましょう。
Q. レーザー脱毛だけで治りますか?
A. レーザー脱毛だけで十分とは限りません。多くは塗り薬や刺激対策で改善しないときに加える治療です。13人の試験ではブツブツはよく反応しましたが、大きなかたまりやしこりの改善は限られていたため、かたまりがある場合はほかの治療も必要になる場合があります。
Q. 落ち着いたあとも治療は続けるのですか?
A. 状態を安定させるために、維持療法がすすめられることがあります。一般的には、刺激の少ない過酸化ベンゾイル入りの洗浄料で首の後ろと頭皮を洗い、治療した部分に処方薬を塗り続ける方法です。
Q. 傷あとのかたまりを手術で取れば再発しませんか?
A. ケロイド状の傷あとを完全に切り取れば、そのかたまりが再び大きくなることはないとされています。手術は傷あとを切り取り、ほかの部位の健康な皮膚でおおう方法なので、範囲と回復期間を先に確認してから決めましょう。
Q. 短期の韓国旅行中でも診てもらえますか?
A. 初診では主に襟足の診察と、散髪の習慣や飲んでいる薬の確認を行います。月1回のレーザーのような治療は数か月続くため、ソウルの滞在が短い場合は、帰国後に続けられる部分を先に確認しておくと安心です。
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この記事は一般的な医療情報を提供するものであり、個別の診断や診療に代わるものではありません。 編集方針を見る

キム・ジャンジュ 首席院長
JANGJU KIM
キム・ジャンジュ医師は、明洞ロッテホテルのストーンクリニックの院長です。
経歴・学歴
- 현) 스톤클리닉 명동 롯데호텔 원장
- 경희대학교 의과대학 졸업
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