要点
- 手術の傷あとのレーザーは早く始めるほど研究結果がよく、1年以上たった帝王切開の傷あとでも6か月で変化が見られました。
- 始める時期: 対照研究14件をまとめた分析では、術後1か月以内に始めた傷あとのスコアが低く、3か月以降に始めた場合ははっきりした差がありませんでした。
- 判断する時期: レーザー後1〜3か月は赤みや茶色い色素沈着が目立つため、効果は6か月ごろに同じ条件の写真で比べます。
- 傷の範囲を越えて広がるケロイドは自然に小さくなりにくく、治療にも反応しにくいため、まず見分けることが大切です。
手術の傷あとへのレーザーは、術後1か月以内に始めた研究で差がもっともはっきり出ています。術後3か月を過ぎてから始めた研究をまとめると、治療しない場合との統計的な差は確認されませんでした。ただし、これらの研究の多くは顔や首の傷あとです。1年以上たった帝王切開の傷あとでも、3回のレーザー後、6か月の写真評価で差が見られた小さな研究があります。
術後数週間で傷が赤く盛り上がるのは普通のこと
術後数週間で傷が赤く盛り上がるのは普通のこと
術後数週間のうちにピンクや赤色になって少し盛り上がり、切開線の幅の中にとどまっていれば、肥厚性瘢痕に近い状態です。肥厚性瘢痕は時間とともに平らになることがあり、ケロイドより治療に反応しやすいとされています。治る途中の傷に強い張力がかかると、できやすくなります。
ケロイドは見た目が違います。赤紫色で硬く、元の切開線の外側まで広がっていきます。術後数か月から数年たってから出てくることもあり、自然に小さくなりにくいのが特徴です。どちらもかゆみや不快感が出ることがあるため、症状だけでは区別しにくく、出てきた時期と広がりを合わせて見ます。
術後数週間で傷が赤く盛り上がるのは普通のこと
レーザーを始める時期で差が出たタイミング
レーザーを始める時期で差が出たタイミング
差がもっとも大きかったのは、術後1か月以内に始めた場合です。2025年の分析は、フラクショナルCO2レーザーで手術の傷あとを治療した対照研究14件(参加者または傷あと492)をまとめています。術後1か月以内に始めた傷あとは、治療しなかった傷あとや、3か月以降に始めた傷あとよりスコアが低くなっていました。3か月を過ぎて始めた場合は、治療しない場合との統計的な差は確認されませんでした。
フラクショナルCO2レーザーは、皮膚に細い柱のような治療点を多数つくります。その点が治る過程で新しいコラーゲンができ、傷あとの組織が組み直されていきます。
レーザーを始める時期で差が出たタイミング
ただし、この結果をそのまま帝王切開の傷あとに当てはめることはできません。14件の多くは顔や首の傷あとで、帝王切開を扱ったのは1年以上たった傷あとの1件だけでした。ランダムに分けた研究は少なく、研究ごとの結果のばらつきも大きくなっています。
| レーザーを始めた時期 | 研究で見られた結果 | 気をつけたい限界 |
|---|---|---|
| 術後1か月以内 | 治療しない傷あとよりスコアが低い | 多くが顔と首の傷あと |
| 術後3か月以降 | 統計的な差は確認されず | この群の研究数が少ない |
| 1年以上たった帝王切開の傷あと | 3回後、6か月の写真評価で差 | 11人と少数、全体スコアは有意差なし |
まず確認したい数字は、今が術後何か月目かということです。
1年以上たった帝王切開の傷あとの場合
1年以上たった帝王切開の傷あとの場合
遅すぎるとは言い切れません。デンマークの研究では、1年以上たった帝王切開の傷あとを持つ12人を対象に、傷あとを半分に分けて片側だけにフラクショナルCO2レーザーを3回行いました。最後まで参加したのは11人です。1か月後、治療した側はやわらかく、表面がなめらかになっていました。6か月後、どちらを治療したか知らない評価者が写真を見て採点すると、治療した側のほうが良い評価でした。一方で、医師と患者が一緒につける全体の傷あとスコアは、6か月の時点で統計的な差には届きませんでした。
注目したいのは判断する時期です。治療後1〜3か月は、一時的な赤みや茶色い色素沈着が傷あとの変化より目立ち、赤みは1か月ごろ、色素沈着は3か月ごろにもっとも強く出ていました。そのため、2〜3か月の写真だけで悪くなったと判断するのは早く、6か月ごろに最初と同じ条件の写真で比べることをおすすめします。6か月の時点で、参加者の64%が治療しなかった側の治療も希望していました。変化の出方には個人差があります。
レーザー後の赤みと色素沈着、受診の目安
レーザー後の赤みと色素沈着、受診の目安
治療直後の赤み、腫れ、薄いかさぶたや皮むけは、時間とともに落ち着く反応です。強めの設定のフラクショナルレーザーでは、腫れが1週間ほど続く場合があります。赤みや茶色い色素沈着は1〜3か月続くことがあります。肝斑や炎症後の色素沈着が出たことがある方、肌の色が濃い方は、色素沈着が出やすいとされています。治療した部分は、治るまでの間とその後数か月、必ず日焼け止めを塗りましょう。
次のような変化があれば、様子を見ずに治療を受けたクリニックへすぐにご連絡ください。
- 浸出液が黄色く濁ってきた、または膿が出ています
- 痛みや熱っぽさが日ごとに強くなり、赤みが広がっています
- 治療した部分に小さな水ぶくれが集まってできています
- 数週間後、治療した部分がかえって厚く盛り上がってきました
連絡するときは、治療した日付と、同じ距離から撮った写真を添えると変化を比べやすくなります。
ご相談の前に準備したい手術日と写真
ご相談の前に準備したい手術日と写真
相談で最初に伝えたい数字は手術日、つまり今が術後何か月目かです。1か月以内か、3か月を過ぎたか、1年以上たったかで期待できる変化が変わるため、この数字を先に確認すると選択肢を比べやすくなります。
当治療は自由診療(保険適用外)で、費用は範囲や回数により異なります。韓国・ソウルの STON Clinic にご相談の際は、傷あと全体が写った写真と近くから撮った写真、傷が盛り上がり始めた時期、ほかの部位にケロイドができたことがあるかを添えてください。授乳中の方や、服用中の薬がある方もあわせてお知らせください。治療を始めたら、6か月ごろに同じ光と距離で写真を撮り直し、最初の写真と並べて比べてみましょう。
読んで気になることがあれば
相談を書く参考文献
- 手術の傷あとにフラクショナルCO2レーザーを始める時期をまとめた分析 — J Cosmet Dermatol, 2025 — PubMed Central
- 術後1か月以内のレーザー治療のランダム化研究をまとめた分析 — Dermatol Surg, 2020 — PubMed Central
- 1年以上たった帝王切開の傷あとを半分ずつ比べたレーザー研究 — Lasers Surg Med, 2017 — PubMed Central
- ケロイドと肥厚性瘢痕の違いと治療 — DermNet — DermNet NZ
- フラクショナルレーザー後の腫れ、色素沈着、感染 — DermNet — DermNet NZ
- CO2レーザーが合わない場合と副作用 — DermNet — DermNet NZ
- シリコンシートとジェルの使い方 — DermNet — DermNet NZ
よくあるご質問
Q. シリコンシートやジェルだけで傷あとは平らになりますか?
A. シリコンシートやジェルは治った傷に使い、肥厚性瘢痕やケロイドの改善に用いられます。1日12〜24時間、少なくとも8〜12週間使う方法が案内されています。ただし、すでにできあがった傷あとを小さくする根拠は強くないという評価もあります。レーザーと併用するかは傷あとの状態を見て決めます。
Q. 手術の傷あとのレーザーは何回くらい受けますか?
A. 研究によって1回から6回までさまざまでした。術後1か月以内の1回で差が出た研究もありますが、2〜3回以上行った研究のほうが多くなっています。1年以上たった帝王切開の傷あとの研究では3回でした。回数は傷あとの厚さや治療後の反応を見て決めます。
Q. 帝王切開の傷あとがかゆく、ちくちくするのは普通ですか?
A. 肥厚性瘢痕でもケロイドでも、不快感やかゆみが出ることがあります。傷あとの治療は見た目だけでなく、痛みやかゆみを和らげることも目的に含まれます。ただし、切開線の外へ広がる場合や、数か月のうちに大きくなり続ける場合は受診してください。
Q. 以前ケロイドができたことがあってもレーザーは受けられますか?
A. ケロイドや肥厚性瘢痕ができやすい体質は、CO2レーザーが合わない可能性がある場合として挙げられています。ケロイドは切り取っても、元より大きくなって再発することがあります。治療の前にこの経験を医師に伝え、注射や圧迫などほかの方法もあわせて検討しましょう。
Q. レーザー後、日焼けはどのくらい気をつければいいですか?
A. 治った後も数か月は、SPF50以上の日焼け止めと衣類で治療部分を守ることが大切です。帝王切開の傷あとはふだん衣類で隠れますが、海やプールなどお腹を出す予定がある場合は、治療計画を立てるときに伝えてください。
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この記事は一般的な医療情報を提供するものであり、個別の診断や診療に代わるものではありません。 編集方針を見る

キム・ジャンジュ 首席院長
JANGJU KIM
キム・ジャンジュ医師は、明洞ロッテホテルのストーンクリニックの院長です。
経歴・学歴
- 현) 스톤클리닉 명동 롯데호텔 원장
- 경희대학교 의과대학 졸업
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