要点
- 頬の脂肪溶解注射のあとのたるみについては長期のデータがないため、減らす量より先に、ふっくら見える原因を確かめます。
- 承認の範囲: デオキシコール酸注射は米国であごの下の脂肪にだけ承認されており、それ以外の部位への使用はすすめられていません。
- あごの下では1か月以上の間隔で最大6回まで行われ、多くの人が2~4回のうちに1段階以上改善しました。
- 見送ったほうがよい場合: つまめないふくらみ、頬骨の下がすでにこけ始めている、皮膚がゆるんでいる場合です。
頬の前側に脂肪溶解注射をしたあと、たるみが出るかを長く追った研究はまだ見当たりません。ただ、年齢とともに頬の深い脂肪は減り、頬の脂肪のかたまりは下へ移っていきます。今ボリュームを大きく減らすと、将来のこけが目立ちやすくなる可能性があります。そのため、どれだけ減らすかより先に、ふっくら見える原因が指でつまめる浅い脂肪かどうかを確かめることが大切です。
頬のふくらみは脂肪か筋肉か骨格かの見分け方
頬のふくらみは脂肪か筋肉か骨格かの見分け方
まず指先で頬の前側を軽くつまんでみましょう。皮膚と一緒にやわらかく厚みのある層がつまめるなら、皮膚のすぐ下の浅い脂肪が多い状態です。つまむと薄いのに頬の下半分が丸く見える場合は、頬の奥にあるバッカルファットの影響が大きいことがあります。バッカルファットは頬の筋肉の上、頬の深いところにある脂肪で、かむ筋肉のまわりのすき間を埋める脂肪が前に張り出した部分です。
次に、歯をぐっとかみしめてみてください。耳の前下、あごの角の上あたりが硬く盛り上がるなら、かむ筋肉(咬筋)が大きく、顔が横に広く見えている状態です。この場合は頬の前側よりも、エラが角ばって見えることが多いです。つまんでもかみしめても形があまり変わらないなら、頬骨やあごの骨の形が主な原因と考えられます。
| 原因 | 自分で確かめられること | 脂肪溶解注射との関係 |
|---|---|---|
| 皮膚の下の浅い脂肪 | やわらかく厚くつまめる | 薬を入れる層 |
| 深いバッカルファット | つまむと薄く、頬の下が丸い | 皮膚の下に入れる方法とは層が違う |
| 咬筋 | かみしめるとエラが硬くなる | 脂肪ではないため対象外 |
| 頬骨・あごの骨 | つまんでもかんでも変化が少ない | 対象外 |
頬のふくらみは脂肪か筋肉か骨格かの見分け方
輪郭注射で頬の脂肪を減らせる量と回数
輪郭注射で頬の脂肪を減らせる量と回数
「輪郭注射」と呼ばれる注射にはいろいろありますが、研究の裏づけがある成分はデオキシコール酸です。もともと体が脂肪の消化に使っている成分です。脂肪の層に入ると脂肪細胞の膜を壊し、そのあとの炎症反応がおさまるにつれて、ボリュームが小さくなります。
米国では Kybella という名前で、成人のあごの下の脂肪に対してだけFDAの承認を受けています。添付文書には、あご以外の皮下脂肪には承認されておらず、そうした使い方はすすめられないと書かれています。あご以外に使ったあと、顔の筋肉や神経の障害、引かないことがあるしこりが報告されています。あご以外の部位を扱った研究は少なく、2019年の文献レビューで見つかった論文は10本だけでした。複数の成分を混ぜた注射であれば、ここでの数字はあてはまらないため、まず成分名を確認してください。
あごの下では、1か月以上の間隔をあけて最大6回まで行われました。多くの人が2~4回のうちに1段階以上改善し、結果は最後の注射から12週間後に評価されています。1回で変わるものではなく、数か月かけて判断する治療です。これはあごの下の数字で、頬の前側にそのままあてはめられる研究はありません。効果の出方には個人差があります。
頬を細くしたあと年齢とともにこける・たるむ可能性
頬を細くしたあと年齢とともにこける・たるむ可能性
注射そのものがたるみを起こすかよりも、減らした場所が年齢による変化と重なるかを見る必要があります。年齢を重ねると、顔の中央の脂肪のかたまりは下へ移り、かたまりの中でもボリュームが下側に集まります。目の下の深い頬の脂肪は減っていきます。
一方で、皮膚の下の浅い頬の脂肪は、50代から60代にかけての10年間でほとんど量が変わりませんでした。年齢とともにこけて見える場所は、主に深い脂肪と下に移った脂肪によるものです。深いバッカルファットも10歳から20歳のあいだに大きくなり、その後30年かけて少しずつ小さくなります。
バッカルファットを取る手術についての2018年のレビューは、将来頬の中央がこけて見えることを大きな懸念として挙げ、長期の経過を追った結果は発表されていないと指摘しました。注射と手術では深さも量も違います。それでも気になる場合は、細くしたい場所が目の下や頬骨の下など、年齢とともにこけやすい場所と重なっていないかを、ご相談の際に確認しておきましょう。
注射後に様子を見てよい反応とすぐ連絡すべき症状
注射後に様子を見てよい反応とすぐ連絡すべき症状
注射後の数日は、腫れや内出血、重だるさが出るのがふつうです。個人差はありますが、あごの下に注射した515人では、内出血が中央値9日、腫れが10日、硬さが28日、しびれが43日続きました。頬の前側の期間を測ったデータはないため、あごの下の数字として参考にしてください。
注射後に様子を見てよい反応とすぐ連絡すべき症状
次のような変化があれば、日数を数えて待たずに、注射を受けたクリニックへすぐにご連絡ください。
- 赤みの範囲が広がり、熱っぽさと痛みが日ごとに強くなっています
- しこりから膿や浸出液が出ています
- しこりが大きくなる、または数週間たっても小さくなりません
- 笑ったときに口角や顔の片側が動きにくい、またはしびれやピリピリ感が続いています
- 注射した部分の皮膚がただれたり、黒く変わったりしています
薬が誤って血管に入り、血管が傷ついた例も報告されています。米国FDAがフィラー注射向けにまとめたサインを目安にすると、注射した部分の近くの皮膚が白・灰色・青っぽく変わる場合や、いつもと違う痛みがある場合は、すぐに受診してください。見え方の変化、突然話しにくくなる、顔や手足がしびれる・力が入らない、歩きにくい、顔がゆがむ、激しい頭痛、めまい、意識の混乱といった脳卒中のサインがある場合は、最寄りの救急外来を受診してください。
注射を見送ったほうがよい頬のタイプとまとめ
注射を見送ったほうがよい頬のタイプとまとめ
浅い脂肪がはっきりつまめて、皮膚の弾力も保たれているときに、注射を検討する意味があります。それ以外の場合は、細くする方法を選ぶ前に原因をもう一度確かめましょう。
- つまむと薄いのに頬の下が丸い場合は、深い脂肪や骨格によるもので、皮膚の下への注射で変わる幅は小さいです。
- 頬骨の下や目の下がすでにこけ始めている場合は、年齢とともに脂肪が減る場所のため、さらに減らすとこけが目立つ可能性があります。
- 皮膚がゆるんでいる場合は、脂肪が減ったあとに皮膚が余り、見た目がかえって悪くなることがあります。皮膚の下の組織が薄くなって起きたたるみには、脂肪を減らす注射は使いません。
- かみしめるとエラが硬くなる場合は、脂肪ではなく筋肉なので、脂肪溶解注射の対象ではありません。
ご相談の際は「私の頬のふくらみは浅い脂肪ですか、深い脂肪ですか」を最初に確認すると、注射が合うかどうかを判断しやすくなります。受けると決めた場合は、何回を何週間おきに行うか、最後の注射から何週間後に写真で比べるかも決めておきましょう。当治療は自由診療(保険適用外)で、費用は部位や量により異なります。韓国・ソウルの STON Clinic にお問い合わせの際は、正面と横からの無表情と笑顔の写真、歯をかみしめた横顔を1枚、頬に受けたヒアルロン酸注入・脂肪注入・脂肪溶解注射の経歴を添えてください。
読んで気になることがあれば
相談を書く参考文献
- 米国のデオキシコール酸注射の添付文書:承認範囲・回数・副作用 — 米国FDA・DailyMed, 2026
- あごの下の脂肪溶解注射の臨床試験を回数ごとにまとめた分析 — Aesthet Surg J, 2018 — PubMed Central
- デオキシコール酸をあご以外に使った研究のレビュー — J Drugs Dermatol, 2019 — PubMed Central
- 年齢による顔の中央の脂肪のかたまりの変化、CT研究 — Plast Reconstr Surg, 2012 — PubMed Central
- 浅い頬の脂肪の量を10年間追った研究 — Aesthetic Plast Surg, 2018 — PubMed Central
- バッカルファット除去の長期的な懸念についてのレビュー — Plast Reconstr Surg Glob Open, 2018 — PubMed Central
- あごの下・フェイスラインの脂肪溶解注射の重い副作用と対象の選び方 — Aesthet Surg J Open Forum, 2024 — PubMed Central
- 注射後に血管が詰まったときのサイン — 米国FDA — U.S. Food and Drug Administration
よくあるご質問
Q. 以前に頬へヒアルロン酸注入や脂肪注入をしていても受けられますか?
A. より慎重な判断が必要です。米国の添付文書では、同じ部位に手術や美容治療を受けたことがあると、構造が変わっていたり瘢痕組織があったりして、安全な注射や思いどおりの結果が難しくなることがあるとされています。受けた治療の名前、時期、量をお知らせください。
Q. 男性でひげが生える場所に打っても大丈夫ですか?
A. 注射した部分の毛が抜けた例が報告されており、人によっては長く続くことがあります。添付文書では、回復するまで次の注射を控えることも示されています。男性では1~2mm深く注射してこの反応を減らす提案もあるため、ひげの部分であれば事前にご相談ください。
Q. 血液をさらさらにする薬を飲んでいても受けられますか?
A. 抗血小板薬や抗凝固薬を飲んでいると、注射した部分の出血や内出血が大きくなることがあるため、注意が必要です。薬の名前と飲んでいる理由を治療前にお知らせください。自己判断で薬をやめるのはお控えください。
Q. 妊娠中や授乳中でも受けられますか?
A. 妊婦を対象とした十分な研究はなく、この薬が母乳に移るかどうかもわかっていません。妊娠の予定がある方や授乳中の方は、治療前にお知らせいただき、時期を一緒に考えましょう。
Q. 頬にニキビができているときに、その上から打てますか?
A. 注射する部分に感染がある場合、この薬は使いません。赤く膿をもったニキビが頬にあるなら、落ち着いてから予定を立てるほうが安心です。注射部位の感染が蜂窩織炎や膿瘍に広がった例もあるため、事前に肌の状態を確認してもらってください。
Q. 笑ったときに口角の片側が上がりにくくなったら戻りますか?
A. あごの下の臨床試験では4%にこうした神経の反応があり、1~298日(中央値44日)のあいだにすべて自然に回復しました。ただし頬の前側は別の顔面神経の枝が通る場所なので、この数字がそのままあてはまるとは限りません。顔の動きが変わったら写真を撮ってすぐにご連絡ください。
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この記事は一般的な医療情報を提供するものであり、個別の診断や診療に代わるものではありません。 編集方針を見る

キム・ジャンジュ 首席院長
JANGJU KIM
キム・ジャンジュ医師は、明洞ロッテホテルのストーンクリニックの院長です。
経歴・学歴
- 현) 스톤클리닉 명동 롯데호텔 원장
- 경희대학교 의과대학 졸업
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