要点
- 鼻がほかの部位より慎重に扱われる解剖上の理由がわかります
- 一度で入れる方法と分けて入れる方法の違いがわかります
- カウンセリングで層と量を決める順番がわかります
- 報告されている合併症の割合が数字でわかります
鏡を横に向けたとき、鼻筋のラインが物足りなく見える日があります。写真では鼻先が下がって見えたり、眉間から鼻筋までの線が平坦に感じられたりします。手術までは考えにくいので、まず注入で変えられるかを調べる方が多いです。
カウンセリングでよくいただくのは、一度で希望の高さまで入れてほしいというご相談です。一回で終われば通う回数も少なく、その日に変化も見えますので、自然なお気持ちだと思います。
ただ、鼻はほかの部位とは条件が違います。皮膚の下の余裕が顔のなかでもっとも少なく、血管が走る層が製剤を置くべき位置のすぐ上にあります。本記事では、その解剖の条件、分けて入れる方法との違い、ダウンタイムと報告されているリスク、層と量を決める順番を整理します。
本記事はBeautystone Clinicの施術情報をまとめたものです。個人差があり実際の結果は異なる場合がありますので、施術を受けるかどうかは皮膚科専門医と相談して決めてください。
鼻はヒアルロン酸を入れる余裕がもっとも少ない部位です
鼻はヒアルロン酸を入れる余裕がもっとも少ない部位です
鼻筋と鼻先の下にはすぐ軟骨と骨があり、その間の余裕はごくわずかです。2023年に耳鼻咽喉科の学術誌に掲載された総説は、鼻にヒアルロン酸を置くもっとも安全な位置は骨膜または軟骨膜のすぐ上の深い層であり、この層は筋膜層と鼻の動脈よりも深いと記載しています。同じ総説は、注入は正中線に置くべきであり、その位置でも血管が通っている可能性を常に意識する必要があるため、すべての症例で注入前に逆血の確認を行うべきだと述べています。
ここでいう筋膜層はSMAS*と呼ばれる浅い層です。鼻の血管網はこの層と皮膚の間を走っていますので、浅く入れると血管のすぐ横に製剤がたまることになります。
SMAS: 皮膚の下で表情筋とつながる薄い筋膜の層です。鼻ではこの層と皮膚の間を血管が走っています。
同じ総説は血管の走り方の個人差にも触れています。解剖標本の14パーセントでは鼻背動脈が正中線を越えて反対側の動脈とつながっていたと記載し、経験を積んだ手でも血管に関わる障害は起こりうるとしています。
鼻はヒアルロン酸を入れる余裕がもっとも少ない部位です
少量ずつ分ける方法と一度で入れる方法の違い
少量ずつ分ける方法と一度で入れる方法の違い
文献に書かれている量は、思われているより少なめです。先の総説は、鼻根を高くする場合に鼻前頭角を鈍らせないよう0.05ミリリットル以下の小さなボーラスで入れると記載しています。鼻背のこぶを扱う場合は0.05ミリリットル未満のボーラスを用い、製剤を押しながら形を整えて少しずつ再評価するとしています。鼻の側面のくぼみは0.05から0.1ミリリットル単位で足すと書かれています。
圧力についても同じように扱われています。2020年に形成外科の学術誌に掲載された記事は、目と鼻の周囲のヒアルロン酸合併症を扱うなかで、製剤は平均動脈圧を超えないよう低い流量で入れるべきであり、注入中に針を動かし続けることは製剤が血管内にたまるのを防ぐのに役立つと記載しています。同じ記事は、鼻背では血管網がすべて皮下層にあるため注入は軟骨膜前と骨膜前の深い層に保たれると説明し、注入前に注射器を軽く引いて逆血がないかを確認しますが、逆血がないことは血管を刺していないことの裏づけにはならないと述べています。
ふたつの方法を並べると、違いはこのようになります。
| 比べる項目 | 少量ずつ分ける方法 | 一度で入れる方法 |
|---|---|---|
| 一回の注入量 | 0.05ミリリットル前後の少量 | 目標の高さに必要な量 |
| 注入の圧力 | 低い流量でゆっくり進めます | 狭い空間に圧力が集まります |
| 形を判断する時期 | 押しながらその場で確認します | むくみが引いてから確認します |
| 調整の余地 | 次回に足すか止められます | 減らすには溶解の処置が必要です |
| むくみとの区別 | 形とむくみを分けやすいです | 高さとむくみが混ざります |
分けて入れる方法であっても、それだけで安心できるわけではありません。先の総説も、鼻への注入はリスクの高い手技で初心者が扱う領域ではないとし、鼻の解剖を十分に理解し、少量をゆっくり正しい層に入れる保守的な進め方が必要だとしています。
なぜBeautystone Clinicでは少量から分けて入れるのでしょうか
なぜBeautystone Clinicでは少量から分けて入れるのでしょうか
鼻のカウンセリングで最初に決めるのは注入量ではありません。横顔の写真で低く見える位置が鼻根か鼻背の中央か鼻先かを分け、皮膚の厚み、これまでの注入歴、鼻の手術を受けたことがあるかを確認したうえで、層と量を決めていきます。
回数を分ける理由もこの場でご説明します。初回は目標より控えめに入れ、むくみが引いてからもう一度見ると、足したほうがよい位置とそのままでよい位置が分かれます。初回で目標まで入れてしまうと、その判断の基準点がなくなります。
記録もその場で残します。同じ角度と照明で撮った横顔の写真と、各回でどこに入れたかを残せば、次回は印象ではなく比較で判断できます。血管合併症の初期のサインとご連絡方法を先にお伝えするところまでが初回の範囲です。
なぜBeautystone Clinicでは少量から分けて入れるのでしょうか
注入の流れとダウンタイム、そして報告されているリスク
注入の流れとダウンタイム、そして報告されているリスク
横顔の分析から始めます。低い位置とその隣の高い位置を分け、どちらを足せば線がつながるかを決めます。鼻先が下がって見える場合は鼻筋を上げるだけでは整わないこともありますので、入れない位置も決めておきます。
注入は正中線の深い層に小さなボーラスで分けて入れます。合間に形を押して確認し、線がつながれば注射器に量が残っていてもそこで止めます。
ダウンタイムは数日を見ておいてください。鼻のむくみは引くまでに数日かかり、回数を分ければその分だけ期間が伸びます。持続期間はひとつの数字では言いにくいところです。ニュージーランドの皮膚科の資料は、ヒアルロン酸について多くの場合3か月から9か月持続し、ほとんどの方が年に2回から3回施術を受けると記載しています。一方で先の総説は、効果持続が製品と部位により6か月から18年まで報告され、鼻では1回の注入後に8年まで持続した例が複数の著者から報告されていると記しています。見ている部位と製品が違うだけですので、鼻は初回の経過を見てから次を決める方が現実に合います。
合併症の割合も数字で整理されています。先の総説が引用した系統的レビューとメタ分析は37本の論文と8604名をまとめ、全体の合併症は2.52パーセント、内出血が1.58パーセントで最多だったと記載しています。一時的な血管閉塞は0.35パーセント、視力低下は0.09パーセント、皮膚壊死は0.08パーセントと報告されています。別の文献レビューでは、視力変化の症例で注入部位の最多が鼻の56.3パーセント、次に眉間27.1パーセント、額18.8パーセント、法令線14.6パーセントでした。まれな側ですが、部位別では鼻が先に挙がります。
まとめとご来院前に整えておくとよい情報
まとめとご来院前に整えておくとよい情報
鼻のヒアルロン酸は、文献上の注入量が0.05ミリリットル単位で、もっとも安全とされる層は骨膜や軟骨膜のすぐ上でした。少量ずつ分ける進め方は、圧力を抑え、むくみが引いた状態で次を判断するためのものです。
ご来院前に用意していただきたいのは横顔の写真です。正面よりも斜め45度と真横のほうが、線がどこで切れているかがよく見えます。気に入った写真があればお持ちください。ただし骨格が違えば同じ線にはなりませんので、方向を合わせる資料として使います。
次に注入歴です。鼻にヒアルロン酸や糸を入れたことがあるか、鼻の手術を受けたことがあるか、前回の製剤が残っているかをお知らせください。手術を受けた鼻は血管の走り方が変わっていることがあります。施術後に片側だけ強く痛む、皮膚が白くなる、視界がぼやけるといった変化があれば、次回の予約を待たずにすぐご連絡ください。
読んで気になることがあれば
相談を書く参考文献
- 鼻にヒアルロン酸を置くもっとも安全な位置は骨膜または軟骨膜のすぐ上の深い層であり、この層は筋膜層と鼻の動脈よりも深い — PubMed Central
- 製剤は平均動脈圧を超えないよう低い流量で入れるべきであり、注入中に針を動かし続けることは製剤が血管内にたまるのを防ぐのに役立つ — PubMed Central
- 多くの場合3か月から9か月持続し、ほとんどの方が年に2回から3回施術を受ける — DermNet NZ
よくあるご質問
Q. 鼻のヒアルロン酸を一度で希望の高さまで入れてもらえますか?
A. ご希望は伺えますが、おすすめはしていません。文献上の量は鼻根で0.05ミリリットル以下、鼻の側面で0.05から0.1ミリリットル単位です。狭い空間に一度に多く入れると圧力が集まり、むくみがある間は高さの判断も難しくなります。初回を控えめにすると、後から足す余地が残ります。
Q. 鼻筋の注入前に逆血を確認すれば安全なのでしょうか?
A. 確認はしますが、それだけで判断はできません。2020年の記事は、注入前に注射器を軽く引いて逆血がないかを見るとしながら、逆血がないことは血管を刺していないことの裏づけにはならないと記載しています。ですから深い層、正中線、低い流量、針を動かし続けることを合わせて行います。
Q. 鼻のヒアルロン酸はほかの部位より長く持ちますか?
A. 鼻では長く持続した報告があります。皮膚科の資料はヒアルロン酸の一般的な範囲を3か月から9か月としていますが、鼻の総説は1回の注入後に8年まで持続した例が複数の著者から報告されていると記しています。製品と部位で幅が大きいので、初回の経過のほうが目安になります。
Q. 鼻の注入で合併症はどのくらいまれに報告されていますか?
A. 8604名のメタ分析では全体の合併症が2.52パーセント、内出血が1.58パーセントでもっとも多い結果でした。一時的な血管閉塞は0.35パーセント、視力低下は0.09パーセント、皮膚壊死は0.08パーセントと報告されています。まれな側ですが、視力変化の症例では部位別に鼻が56.3パーセントで最多でした。
医療情報に関するご案内
この記事は一般的な医療情報を提供するものであり、個別の診断や診療に代わるものではありません。 編集方針を見る

キム・ジャンジュ 首席院長
JANGJU KIM
キム・ジャンジュ医師は、明洞ロッテホテルのストーンクリニックの院長です。
経歴・学歴
- 현) 스톤클리닉 명동 롯데호텔 원장
- 경희대학교 의과대학 졸업
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