要点
- 目の下の注入後、数日から数年の間に出た頬の上のむくみは、フィラーによる「マラー浮腫」かどうかをまず見分けます。
- どのくらい多いか: 目の下に注入を受けた人の11〜24%で報告されている反応です。
- 注入直後の腫れや内出血は、通常7〜14日で引きます。そのあとに出た、または残るむくみは別に考えます。
- 対処の順序: 2〜3週は頭を高くして寝るなどのケアで様子を見て、改善しなければ溶解注射を2週ごとに3回まで使う方法が提案されています。
目の下にヒアルロン酸を入れて数か月後に出てきたむくみも、フィラーが原因の場合があります。目の下から頬の上にかけては、リンパ液が流れにくい場所です。ここに置かれたフィラーの周りに水分がたまると、ふっくら腫れて見えます。ただし数週間で急に大きくなったむくみは、フィラー以外の原因を先に確認する必要があります。
数か月後のむくみもフィラーが原因か
数か月後のむくみもフィラーが原因か
フィラーによるむくみは、注入から数日で出ることもあれば、数か月や数年たって初めて出ることもあります。目の下のくぼみの下、頬骨の上は、2本の靭帯の間をリンパ管が通る狭い区画です。もともと水分が抜けにくい場所で、ここに入れたヒアルロン酸がリンパの流れを妨げると、頬の上がふっくら腫れて見えます。
マラー浮腫:目の下、頬骨の上あたりにリンパ液がたまって腫れる状態です。
数か月後のむくみもフィラーが原因か
注入量が多いほど、また仕切りの膜より浅く置かれるほど起こりやすくなります。年齢が高い方、目の周りの手術歴がある方、アレルギーのある方もリスクが高いとされています。147人を5年以上追った記録では11%にマラー浮腫が残っていましたが、こうした問題の90%は軽く、特別な治療はしていません。ただし長引くと、脂肪や筋肉がまじったふくらみ(マラーマウンド)として残ることもあります。
フィラーのむくみか、目の下の脂肪や別のむくみか
フィラーのむくみか、目の下の脂肪や別のむくみか
最初のステップは、注入前の写真と今の写真を同じ角度で並べることです。注入前になかったふくらみが注入した場所のすぐ下に出ていれば、フィラーのむくみを先に疑います。注入前の写真にも同じふくらみがあれば、もともとの目の下の脂肪やたるみに近いと考えます。朝にむくむというだけでは、どちらかは分かりません。
| 区分 | 注入後のマラー浮腫 | 注入直後の腫れ | 目の病気・全身のむくみ |
|---|---|---|---|
| 出る時期 | 数日〜数年後 | 施術直後 | 注入とは関係なく |
| 場所 | 目の下から頬の上 | 針を刺した場所 | 目の周り全体、顔や体 |
| 一緒に見られること | 長引くとふくらみが残る | 赤み、押すと痛い、内出血 | 目の乾き、白目の腫れ、目の突出 |
| 期間 | 長く続くこともある | 通常7〜14日 | 原因の病気による |
目の周りの見た目は、本来何年もかけてゆっくり変わります。数週から数か月で急に変わった場合は、甲状腺の目の病気や全身がむくむ病気が隠れていないかを先に確認します。顔以外もむくむなら、甲状腺・心臓・腎臓・肝臓など全身の原因を先に調べます。
溶解注射への反応も、原因を分ける手がかりになります。目の下のむくみに溶解注射を受けた20人の記録では、注入後に出たむくみの14人は再び腫れず、注入と関係なく出たむくみの6人は2〜3週で再び腫れました。
フィラーのむくみか、目の下の脂肪や別のむくみか
副作用:様子を見てよい反応とすぐ受診が必要なサイン
副作用:様子を見てよい反応とすぐ受診が必要なサイン
注入直後の赤み、腫れ、押したときの痛み、ときどき出る内出血は一時的な反応です。通常7〜14日で引きます。数か月後のむくみでも、痛み、熱っぽさ、赤みを伴う場合は、施術を受けたクリニックに連絡してください。
次の変化は、注入からどれだけたっていてもすぐ行動が必要です。米国FDAの案内に沿った内容です。
- 注入部位の近くの皮膚が白く、灰色に、または青っぽく変わります
- いつもと違う痛みがあります
- 見え方が変わります(失明に至った報告があります)
- 急にろれつが回らない、顔・腕・脚のしびれや力が入らない、歩きにくい、顔が垂れる、激しい頭痛、めまい、混乱といった脳卒中のサインがあります
皮膚の色の変化やいつもと違う痛みは、すぐ施術先に連絡して受診してください。見え方の変化と脳卒中のサインは、近くの救急外来を受診してください。
フィラーが原因なら、すぐ溶かすべきか
フィラーが原因なら、すぐ溶かすべきか
フィラーのむくみに見えても、すぐ溶かすより2〜3週様子を見て、寝るときに頭を高くし、マッサージやリンパの流れを促すケアから始めます。2026年の欧州の専門家の提言は、それでも改善しない場合にヒアルロニダーゼを2週ごとに3回まで、必要なら飲むステロイドを5日併用する順序を示しています。反応がなければ、ステロイド注射を3週ごとに2回まで検討します。
ヒアルロニダーゼ:ヒアルロン酸を分解する酵素で、ヒアルロン酸フィラーを溶かすときに使います。日本では未承認の医薬品で、同じ効能をもつ国内承認薬はありません。当院(韓国・ソウル)では、韓国で承認された製剤を使用しています。米国では、ほかの注射薬の吸収を助ける目的で承認されています。主な副作用は注射部位の赤みや痛みなどの軽い反応で、まれにじんましんなどのアレルギー反応が報告されています。医薬品副作用被害救済制度の対象外です。使用にあたっては医師の診察が必要です。
溶解注射は、むくみだけを選んで抜くことはできません。入れたフィラーも一緒に減り、目の下のくぼみがまた見えることがあるため、少量ずつ分けて打つ方法が使われます。むくみが出て数週以内なら1回で落ち着くことが多く、6か月以上続いたむくみは3回までかかると見込まれていました。
注入後のケアと再注入の考え方
注入後のケアと再注入の考え方
施術後48時間は、日差し、サウナ、岩盤浴、プール、飲酒、体温が上がる運動はお控えください。注入部位を触ったりこすったりするのも避けてください。帽子やヘルメットは1週間かぶらないこと、歯科治療は少なくとも2週あとにすることも提言に含まれています。
今むくんでいるなら、さらに足す前にむくみの原因を見るのが順序です。溶解注射でフィラーのむくみを落ち着かせた14人も、同じ場所に再注入はしていません。もう一度受ける場合は、目の下に使うことが認められた製品か、溶かせるヒアルロン酸かを確認しましょう。
まとめ:相談前に準備すること
判断は、そのときフィラーがどの深さに、片側どれくらい置かれたかから始まります。最初に施術を受けたクリニックに、注入した層と片側の量の記録をもらっておくと相談が早く進みます。
当治療は自由診療(保険適用外)で、費用は使う薬の量や回数により異なります。ソウル・明洞の STON Clinic に相談するときは、注入日、製品名と量、むくみに初めて気づいた時期を書いてください。注入前の写真と、最近の朝と夜の写真を同じ光で1枚ずつ添えると、1日の中での変化も比べられます。溶解注射をするか様子を見るかは、その資料と診察をあわせて決めます。
読んで気になることがあれば
相談を書く参考文献
- 注入後すぐ受診が必要なサイン — 米国FDA — U.S. Food and Drug Administration
- 注入後の腫れ・内出血が引く期間 — 米国皮膚科学会 — American Academy of Dermatology
- 目の下の注入後のマラー浮腫の原因・予防・対処の提言 — Dermatol Ther、2026 — PubMed Central
- 目の周りの注入147人を5年以上追った記録 — J Cosmet Dermatol、2018 — PubMed Central
- 目の下のむくみに溶解注射を使った20人の記録 — Eur J Med Res、2014 — PubMed Central
- こめかみの注入2年後に上まぶたがむくんだ症例 — Plast Reconstr Surg Glob Open、2026 — PubMed Central
よくあるご質問
Q. 注入から2年以上たっていても、そのフィラーが原因のことはありますか?
A. はい、2年前の目の下の注入によるむくみが報告されています。欧州の専門家の提言で紹介された2人は、2年前に目の下に注入を受け、製品名も覚えていませんでした。時間がたっていても、施術日と部位を相談時に伝えると原因を探す助けになります。
Q. こめかみに入れたフィラーで、まぶたがむくむことはありますか?
A. まれですが報告があります。ある症例報告では、51歳女性の上まぶたが長くむくみ、手術で取った組織からヒアルロン酸が見つかりました。この方は手術のあとで、2年前にこめかみへ注入したことを思い出しています。顔のどこかに注入歴があれば、部位と時期を伝えてください。
Q. 溶解注射を打つと、むくみは何日で引きますか?
A. 20人の記録では、1回打って7日後の写真でむくみが減るか消えていました。針の跡の内出血以外に目立つ副作用はありませんでした。ただし一度に多く打った2人では、入れたフィラーも一部または全部溶けています。薬のアレルギーがあれば、注射の前に伝えてください。
Q. 片側の目の下だけむくんでいます。フィラーが原因ですか?
A. 片側だけなら、フィラーのせいと決めつけずにほかの原因を先に確認してください。欧州の専門家の提言は、ごくまれに顔の片側だけの変化がリンパ腫などの病気のサインのことがあるとしています。両側に注入したのに片側だけむくむ場合は、そのことも相談時に伝えてください。
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この記事は一般的な医療情報を提供するものであり、個別の診断や診療に代わるものではありません。 編集方針を見る

キム・ジャンジュ 首席院長
JANGJU KIM
キム・ジャンジュ医師は、明洞ロッテホテルのストーンクリニックの院長です。
経歴・学歴
- 현) 스톤클리닉 명동 롯데호텔 원장
- 경희대학교 의과대학 졸업
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