要点
- 上唇が薄く見えるとき、実際に変わった場所を見分ける手がかり
- 量が減った場合と位置が移った場合で進め方が変わる理由
- 唇のボリューム補正で目安になる期間
- 診察の前にそろえておくと役に立つ写真と記録
数年前の写真と今の写真を並べて見ていると、口元で視線が止まる方が多くいらっしゃいます。唇の色が変わったわけでも、痩せたわけでもないのに、上唇の赤い部分が薄く見えて、鼻の下から唇までの区間はむしろ長く見えます。笑ったときに前歯の見える量が減った気がする、というお話もよく伺います。
こうしたとき、多くの方はまず「唇のヒアルロン酸」を調べ始めます。ただ同じ「薄くなった上唇」でも、実際に変わった場所によって進め方は変わります。赤い唇そのものが小さくなったのか、鼻の下の皮膚が長くなって赤い唇の占める割合が減ったのか、ここが分かれ道です。この一点を先に整理しておくと、どこを補うかがはっきりします。
ここからは、口元で実際に何が変わるのか、量が減ったことと位置が移ったことをどう分けて見るのか、補う順番をどう組み立てるのかを順に整理します。
本記事はBeautystone Clinicの診療情報をまとめたものです。個人差があり、実際の結果は異なる場合があります。 施術を受けるかどうかは皮膚科専門医とご相談のうえお決めください。
厚みより先に、人中の長さを見ます
厚みより先に、人中の長さを見ます
鏡の前で上唇が薄くなったと感じるとき、実際に変わっているのは赤い唇ではなく、その上の区間であることが多いです。鼻の下から赤い唇が始まる線までの人中*が長くなると、顔の下半分で赤い唇が占める割合が小さくなり、厚みが同じでも薄く見えます。口元の加齢をMRIと規格化した写真で計測した研究でも、年齢とともに上唇の長さは統計的にはっきりと増え、目に見える赤い唇の高さは逆に減っていくと報告されています。
人中:鼻の下から上唇の赤い部分が始まる線までの皮膚の区間のことです。ここが長くなると、唇の厚みが同じでも薄く見えることがあります。
ご自宅で確かめるときも、順番を決めておくと見やすくなります。まず正面の写真で、鼻の下から唇の線までの距離を以前の写真と比べます。次に赤い唇が見えている高さを確認します。最後に軽く笑ったときに前歯がどのくらい見えるかを見ます。この三つを合わせて見ると、どの層が動いたのかが少しずつ見えてきます。
唇の輪郭がぼやけてくる変化も、同じ時期に重なって現れます。赤い唇と皮膚の境目が以前ほどはっきりしなくなると、口紅がにじんで見えたり、色をのせても輪郭が出にくいと感じたりします。この変化は厚みとは別に動きますので、分けて見ていただくとよいです。
量が減ったのか、位置が移ったのかで分かれます
量が減ったのか、位置が移ったのかで分かれます
口元の変化は「ボリュームが落ちた」と表現されることが多いのですが、計測の結果はもう少し複雑です。同じ研究では、若い唇と加齢した唇の断面積をMRIで比べたところ、全体の面積に統計的にはっきりした差は確認されませんでした。研究者は、全体量が減ったというより、厚みが長さの方向へ配分し直される変化に近いとまとめています。
同じ資料では、皮膚の層そのものは薄くなる一方で、皮下の脂肪はむしろ増えるという流れも報告されています。つまり前に出ていた唇が目立たなく見えるとき、その理由が量の消失ではなく、位置と分布の入れ替わりである場合があります。入れる一手だけでは期待とずれる可能性がある、ということでもあります。
| 感じている変化 | 実際に動いた場所 | 先に確かめること |
|---|---|---|
| 赤い唇が薄く見える | 人中の長さ | 以前の写真と鼻の下からの距離 |
| 唇が目立たなく見える | 厚みの配分の移動 | 横顔写真での唇の出方 |
| 輪郭がぼやけて見える | 赤い唇の境目の明瞭さ | 境目の接写 |
| 笑うと前歯が見えにくい | 上唇の上がり方 | 軽く笑った写真 |
| 縦じわが見える | 口元の皮膚のきめ | 唇をすぼめた写真 |
整理すると、確認の順番は長さ、高さ、境目、動きです。この四つのどれが主に動いたかで、同じ「薄くなった唇」でも補う場所が変わります。長さが主な変化であれば、赤い唇だけを足す進め方はかえって比率を不自然にすることがあります。
もう一つ覚えておいていただきたいのは、これらの変化が同時には来ないということです。境目から先にぼやける方もいれば、長さの変化が先に目につく方もいらっしゃいます。ですので今日の一枚より、数年あいだを置いた写真の比較の方が多くを教えてくれます。
Beautystone Clinicが唇を顔の比率の中で見る理由
Beautystone Clinicが唇を顔の比率の中で見る理由
Beautystone Clinicでは、口元の診察で最初に見るのが唇そのものだけではなく、鼻の下から顎先まで続く比率です。同じ量を入れても人中が短い方と長い方では見え方が変わりますし、上唇と下唇の比率によって自然に見える着地点も動きます。ですので正面と横顔、そして軽く笑った表情まで記録してから話を始めます。
Beautystone Clinicが唇を顔の比率の中で見る理由
補う順番はこう組み立てます
補う順番はこう組み立てます
出発点は戻せる側からです。紫外線対策と保湿、それに唇をなめたり噛んだりする癖の見直しなど、負担の小さいケアが先に並びます。喫煙のように口元のしわと色を同時に動かす要因があれば、そこを一緒に見ていく方が順番として前になります。この段階は劇的ではありませんが、後でどの選択をする場合でも土台になります。
次の段階で最もよく相談されるのがヒアルロン酸*です。唇のヒアルロン酸を18か月追跡した研究では、12か月の時点で参加者の77パーセントが改善した状態を保ち、18か月の時点でも79パーセントで満足できる結果が残っていたと報告されています。同じ研究で最も多かった反応は腫れと圧痛、痛みで、その大半は2週間以内に落ち着いています。
ヒアルロン酸:皮膚や結合組織にもともとある成分のことです。水分を引き寄せる性質があるため、ボリュームを作って保つ目的で使われます。
注意していただきたい点もはっきりしています。米国皮膚科学会は、針を使わない器具で唇にフィラーを入れると力がかかりすぎて凹凸や左右差が出ることがあり、フィラーが血管をふさぐと組織が壊死する可能性があるとして、専門医に受けることをすすめています。唇は血管が密に走る場所ですので、この点はとくに大切です。
人中の長さそのものを短くする手術は、順番としては後ろに置かれます。戻しにくく、傷あとの残る場所でもありますので、前の段階で比率を十分に確認してから検討する流れが自然です。一度で終わらせようとするより、数か月ごとに反応を見ながら調整していく方が現実的です。
診察の前にそろえておくと役に立つもの
診察の前にそろえておくと役に立つもの
いちばん役に立つ準備は写真です。正面と横顔、そして軽く笑った表情を同じ照明で撮っておくと、診察でそのまま使えます。そこに5年前や10年前の写真を一枚加えると、何がどれだけ変わったのかがずっとはっきりします。
これまでの経過も持ってきていただけると助かります。唇や周囲にフィラーを入れたことがあれば、時期と製品の種類、溶かす処置を受けたことがあるかまで書き出しておいていただくと判断が早くなります。口唇ヘルペスを繰り返しやすい方や、普段から腫れやすい方は、その点も先にお知らせください。
最後に、期待の置きどころをそろえておきます。口元の補正は20代の唇に戻す作業というより、比率を整えて境目をはっきりさせていく過程に近いです。方向を先に決めておくと、数か月後の経過をずっと落ち着いて受け止められます。
読んで気になることがあれば
相談を書く参考文献
- 年齢とともに上唇の長さは統計的にはっきりと増え、目に見える赤い唇の高さは逆に減っていく — PubMed Central
- 12か月の時点で参加者の77パーセントが改善した状態を保ち、18か月の時点でも79パーセントで満足できる結果が残っていた — PubMed Central
- 針を使わない器具で唇にフィラーを入れると力がかかりすぎて凹凸や左右差が出ることがあり、フィラーが血管をふさぐと組織が壊死する可能性がある — American Academy of Dermatology
よくあるご質問
Q. 唇にヒアルロン酸を入れると、人中が長く見えることも一緒に解決しますか
A. 赤い唇だけを足す進め方では、長さそのものは短くなりません。ただし赤い唇の見える高さが増えることで、比率の見え方が変わることはあります。人中の長さが主な変化であれば、量を増やすよりどこに入れるかを相談する方が自然な結果に近づきます。
Q. 唇のヒアルロン酸はどのくらい持つと考えればよいですか
A. 製品や注入量、個人差によって変わりますが、追跡研究では12か月の時点で多くの方が改善した状態を保ち、18か月の時点でも結果が残っている場合が報告されています。ただし同じ研究には途中で追加を受けた方も含まれていますので、一度で終わると考えるより、経過を見ながら調整する予定として捉えていただく方がよいです。
Q. 針を使わない唇用のフィラー器具は安全ですか
A. おすすめできません。米国皮膚科学会は、こうした器具が過剰な圧力でフィラーを押し込むため凹凸や左右差が生じることがあり、血管がふさがると組織が死んでしまう場合もあると説明しています。唇は血管の多い場所ですので、専門医に受けていただく方が安全です。
Q. 唇の診察を受けるとき、何を持っていけばよいですか
A. 同じ照明で撮った正面と横顔、軽く笑った表情の写真をお持ちください。そこに数年前の写真を一枚加えると比較が楽になります。過去のフィラーの履歴と製品の種類、口唇ヘルペスの再発の有無も一緒にお伝えください。Beautystone Clinicでも、この記録をもとに比率から確認していきます。
医療情報に関するご案内
この記事は一般的な医療情報を提供するものであり、個別の診断や診療に代わるものではありません。 編集方針を見る

キム・ジャンジュ 首席院長
JANGJU KIM
キム・ジャンジュ医師は、明洞ロッテホテルのストーンクリニックの院長です。
経歴・学歴
- 현) 스톤클리닉 명동 롯데호텔 원장
- 경희대학교 의과대학 졸업
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