要点
- 顔の脂肪注入は術後6~12か月に術前の写真と比べて判断し、3か月の時点ではまだ減っている途中のことがあります。
- 残る量: 体積を直接測った27件の研究をまとめると、残った割合は26~83%、平均47%でした。
- 3Dで30人を追った研究では、1か月で注入量の37~49%が残り、12か月まで少しずつ減りました。
- すぐ救急へ: 術後に見え方がかすむ、ろれつが回らないときは、翌日以降でも救急を受診してください。
顔の脂肪注入(自家脂肪移植)の生着は、早くても術後6か月、できれば12か月ごろに判断します。術後すぐのボリュームにはむくみが含まれており、移した脂肪の一部はその後数か月かけて吸収されるためです。術後1~3か月で減ったと感じても、それだけで失敗とは言えません。
脂肪注入後にボリュームが減った理由
脂肪注入後にボリュームが減った理由
ボリュームが減ったと感じても、それだけで生着しなかったとは言えません。移した脂肪は新しい場所で血流を受け直すことで生き残り、血流を得られなかった部分は体にゆっくり吸収されます。そのため、順調に経過しても注入した脂肪がすべて残るわけではありません。
生着:移した脂肪が新しい場所で血流を受けて生き残り、定着することです。
術後すぐの鏡の顔には、注入した脂肪にむくみが加わっています。顔の左右差の治療で脂肪注入を受けた30人を3Dで追った比較では、1か月の時点で注入量の37~49%しか残っていませんでした。最初の1か月に大きく減ったことになります。
脂肪注入後にボリュームが減った理由
そのため、1か月の顔を術後すぐの顔と比べると、実際より大きく失敗したように見えます。比べる基準は術後すぐではなく、術前の写真にするのがおすすめです。
生着を判断する時期の目安
生着を判断する時期の目安
術後6か月を過ぎると減り方が小さくなり、結果は12か月ごろの状態で見ます。顔の脂肪注入の研究でも、多くは6~12か月に体積を測り直しています。
先ほどの30人では、注入量に対して残った割合が1か月で37~49%、3か月で34~45%、6か月で31~43%、12か月で31~41%でした。1か月以降の減り方は小さいものの、12か月まで少しずつ減り続けました。
平均18mLを注入した22人を3Dで測った記録もあります。3か月で11.6mL、6か月で9.1mL、最後の確認(平均12か月)で8.0mLが残りました。この22人は、3か月から6か月の間にもかなり減っています。3か月の顔を結果と決めてしまうと、その後さらに減って落ち込みやすくなります。
生着を判断する時期の目安
| 術後の時期 | 鏡で見えやすい変化 | この時期にすること |
|---|---|---|
| 1か月以内 | むくみで大きく見え、その後すぐ小さくなる | 術後すぐの顔と比べない |
| 1~3か月 | むくみが引いた後も少しずつ減る | 同じ明るさと角度で写真を撮る |
| 3~6か月 | 人によっては目立って減る | まだ結果と決めない |
| 6~12か月 | 減り方が小さくなる | 術前の写真と比べて判断する |
結果を見るときは、同じ明るさと角度で撮った術前の写真が基準になります。
人によって残る量が違う理由
人によって残る量が違う理由
残る量は、脂肪の扱い方と、受ける顔の状態によって変わります。体積を直接測った27件・1,011人をまとめた分析では、残った割合は26~83%と幅広く、平均は47%でした。同じ施術名でも、結果にはこれだけの幅があります。
- 脂肪のろ過方法: 先ほどの30人は三つの方法に分かれていました。12か月の時点で、コットンパッドでろ過した群は41%、遠心分離は34%、静置した群は31%が残りました。
- くぼみの原因: 年齢とともに脂肪が減ってくぼんだ顔は、12か月で残る割合が43%と推定され、原因が混ざった場合の64%より低くなりました。
- フェイスリフトの有無: 中顔面に脂肪を注入した女性26人のうち、フェイスリフトを受けた人は23.8%、受けていない人は47.6%が残りました。
遠心分離:採った脂肪を高速で回し、油と水分を分ける方法です。
そのため、ほかの人の「何%残った」という話を、ご自身の顔にそのまま当てはめるのは難しいです。ご自身の結果は、ご自身の術前の写真と比べて見ましょう。
様子を見てよい変化と、すぐ連絡すべきサイン
様子を見てよい変化と、すぐ連絡すべきサイン
むくみが引くにつれてボリュームが減るのは、先ほどの経過の範囲内です。顔の脂肪注入4,577人をまとめた報告では、報告された合併症は2.27%で、左右差が74人と多くを占めました。皮膚の凹凸14人、長引くむくみ4人、脂肪壊死3人、感染2人も報告されています。
脂肪壊死:移した脂肪が生き残れずに固まり、硬いしこりとして触れる状態です。
次のような場合は、手術を受けた医療機関にすぐ連絡し、受診してください。
- 注入した部分が赤く熱をもち、痛みが強くなっています
- うみや液が出る、または熱があります
- 硬いしこりが大きくなる、または押すと痛みます
まれに、移した脂肪が血管をふさぐことも報告されています。こうした61人をまとめた報告では、症状の66%は注入直後から1時間以内、24%は2~23時間の間、10%は1日以上たってから出ていました。目の動脈がふさがった26人は全員が視力を失い、6人が亡くなっています。
見え方がかすむ、見えない、目が痛いときは、近くの救急を受診してください。ろれつが回らない、手足がしびれる・力が入らない、頭痛、意識がぼんやりするときも同じです。こうした症状が自然に治まるのを待つことはお控えください。
ソウルでの日程と帰国後の相談
ソウルでの日程と帰国後の相談
ソウル滞在中に再診や施術を受ける場合、鎮静麻酔を受けた日を除けば、飛行機に乗ること自体は延ばす理由になりません。多くの施術は一度で大きく変わるものではなく、少しずつ以前の印象に近づいていきます。1回の受診が、結果を判断するまでの期間の代わりになるわけでもありません。
脂肪注入は落ち着くまで6~12か月かかるため、その多くは帰国後の時間になります。帰国後に気になることがあれば、LINEで写真を送ってご相談いただけます。赤み・痛み・しこりの増大、見え方や話し方の異常があれば、返信を待たずにまず現地の医療機関を受診してください。
追加の脂肪注入を考える前に記録すること
追加で脂肪を入れるかどうかは、6~12か月に残ったボリュームを術前の写真と比べてから決めます。その前に入れると、まだ減っている途中の脂肪と新しい脂肪が混ざり、どれだけ残ったのかが分かりにくくなります。
術後3か月・6か月・12か月に、同じ明るさと角度で正面と左右の写真を撮っておくと、残ったボリュームをご自身で比べやすくなります。相談では「この写真で減ったのはどこで、脂肪を足すべき場所ですか」と最初に確認すると、ほかの方法とも比べやすくなります。脂肪注入は自由診療(保険適用外)で、費用は部位や量により異なります。明洞のロッテホテルソウル内、乙支路入口駅近くにある STON Clinic にLINEでお問い合わせの際は、手術日、注入した部位、術前と最近の写真を添えてください。
読んで気になることがあれば
相談を書く参考文献
- 顔の脂肪注入で残る体積を27件の研究からまとめた分析 — Aesthetic Plast Surg, 2021 — PubMed Central
- 顔の脂肪注入4,577人の効果と合併症のまとめ — JPRAS Open, 2019 — PubMed Central
- 三つの脂肪処理法を3Dで1~12か月比べた試験 — JAMA Facial Plast Surg, 2018 — PubMed Central
- 22人の顔の脂肪注入の体積を3・6・12か月に測った記録 — J Plast Reconstr Aesthet Surg, 2016 — PubMed Central
- 中顔面の脂肪注入の長期体積と年齢・フェイスリフトの影響 — Aesthet Surg J, 2014 — PubMed Central
- くぼみの原因別に見た脂肪注入の結果の分析 — J Plast Reconstr Aesthet Surg, 2023 — PubMed Central
- PRP・幹細胞を混ぜた顔の脂肪注入の研究まとめ — Aesthet Surg J, 2022 — PubMed Central
- 顔の脂肪注入後に動脈がふさがった61人の症状と結果 — Aesthetic Plast Surg, 2023 — PubMed Central
よくあるご質問
Q. PRPや幹細胞を混ぜると、脂肪は多く残りますか?
A. PRPや幹細胞の成分を混ぜると多く残るとは、まだ言い切れません。27件の研究をまとめた報告では、混ぜた群で多く残った研究は22件中13件、満足度が高かった研究は16件中5件でした。研究の質も27件中20件が弱いと評価されています。
Q. 年齢が高いと、注入した脂肪は残りにくいですか?
A. 年齢によって残る量が違ったという報告があります。中顔面に脂肪を注入した女性26人を3Dで測った研究では、55歳未満は平均53.0%、55歳以上は31%が残りました。ただし一施設の少人数の研究のため、年齢だけで結果を決めつけず、ほかの条件と合わせて見ます。
Q. 脂肪注入から3か月で左右差が気になります。どうすればいいですか?
A. 脂肪注入から3か月の左右差は、まだ結果と決めるには早い時期です。4,577人をまとめた報告でも、左右差は報告された合併症の中で多いものでした(74人)。6か月以降まで同じ明るさと角度で写真を残し、差が変わらないかを見てから、手術を受けた医療機関に相談しましょう。
Q. 脂肪注入した部分に硬いしこりがあります。大丈夫ですか?
A. 脂肪注入した部分の硬いしこりは、小さく痛みがなくても一度手術を受けた医療機関に見せるのがおすすめです。4,577人をまとめた報告では、脂肪壊死は3人、感染は2人とまれでした。しこりが大きくなる、押すと痛む、赤く熱をもつ場合は、待たずにすぐ受診してください。
Q. 眉間や額、こめかみへの脂肪注入は特に注意が必要ですか?
A. 眉間・額・こめかみの脂肪注入では、血管がふさがるサインに特に注意が必要です。脂肪が動脈をふさいだ61人をまとめた報告では、注入部位は眉間と複数部位の同時注入がそれぞれ26.2%で多く、こめかみ16.4%、額14.8%と続きました。報告例を集めた資料のため、部位ごとの発生率を比べたものではありません。
Q. 脂肪の生着率の数字が資料によって違うのはなぜですか?
A. 脂肪の生着率の数字は、いつ、どの方法で測ったかによって変わります。27件の研究をまとめた分析でも、体積の測り方が報告された生着率に大きく影響していました。追跡期間が短いと多く残ったように見えることがあり、写真だけの評価では主観も入りやすくなります。ご自身の術前・術後の写真で比べるほうが正確です。
Q. 2回目の脂肪注入では、多く残りますか?
A. 2回目の脂肪注入では多く残る傾向が見られたという分析があります。27件の研究をまとめた分析では、2回目の注入や生まれつきの顔の変形がある場合に生着がよい傾向がありましたが、はっきりした差とまでは言えませんでした。1回目の結果を6~12か月に確認してから決めると比べやすくなります。
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この記事は一般的な医療情報を提供するものであり、個別の診断や診療に代わるものではありません。 編集方針を見る

キム・ジャンジュ 首席院長
JANGJU KIM
キム・ジャンジュ医師は、明洞ロッテホテルのストーンクリニックの院長です。
経歴・学歴
- 현) 스톤클리닉 명동 롯데호텔 원장
- 경희대학교 의과대학 졸업
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